kimamerのブログ

Mr.Childrenの歌詞について考えるブログです。「気まま」に読んでください。

Mr. Children歌詞考察 vol.11 「Everything (it's you)」

皆さんこんにちは。お久しぶりとなりました。今回はEverything (it's you)の歌詞について考えてみましょう。

この曲は1997年に発表され、ミリオンセラーを達成するわけですが、94年のCross Roadを皮切りに、ミスチルが発表する曲がミリオンを連発するいわゆる「ミスチル現象」の真っただ中に発表されたものになります。

ボーカルの桜井さんは、スターダムをかけあがるスピードがあまりに速かったため、バブル的に人気が過熱して、いつかはそれがはじけ飛んでしまうと思っていた、という見方もあります(実際に2017年の25周年ライブでも、「どうせどこかに行ってしまうと思っていたファンの皆さんがこうして集まってくれることはうれしい」と言っていました)。

私は、この曲はそんな桜井和寿さんが主語で、彼の気持ちがもろに表れていると感じています。今回は、桜井さんの目線に立って歌詞を考えていこうと思います。

 

「世間知らずだった少年時代から 自分だけを信じてきたけど

 心ある人の支えの中で なんとか生きてる今の僕で

 弱音さらしたり 愚痴をこぼしたり 人の痛みを見てみないふりをして」

 

少年時代とは、デビューをした当時とも考えられますね。当初から天才と称され、桜井さんは自分の才能によって曲が生まれ、Mr.Childrenとしてやっていけているんだ、と感じていた時期もあったが、実際はそれを支えてくれるメンバーや周りの人々の支えがあって「なんとか」やっていけているということを認識したのでしょう。そうしたギリギリやっている、という環境では人の気持ちを十分に考えられなかった時もあるのかもしれません。

 

「幸せすぎて 大切なことがわかりづらくなった今だから

 歌う言葉さえも見つからぬまま 時間に追われ途方にくれる」

 

富や名声を手にし、それ自体は目指してきたことでありながらも本当に求めるものは何なのか?という葛藤が垣間見えます。「歌う言葉さえも見つからぬ」というのは桜井さんにとって、仕事がままなっていないということですから、幸せすぎることでインスピレーションがわきにくくなっていたのでしょうね。

 

「愛すべき人よ 君も同じように 苦しみに似た思いを抱いてるの?」

 

愛すべき人、という第二の登場人物が出てきましたが、自分が好きな人に同じ気持ちを持っていてほしいという願いが見えますね。

 

「Stay 何を犠牲にしても守るべきものがあるとして

 僕にとって今君が それにあたると思うんだよ」

 

愛すべき人というのは、だれなのか。女性をイメージしているように思えますね。

 

「夢追い人は旅路の果てで 一体なにを手にするんだろう

 嘘や矛盾を両手に抱え それも人だよと 悟れるの?」

 

夢追い人=桜井和寿、でしょう。スターになる中で汚れた世界をたくさん見ることになり、それでも人前に立つ人間としてそうした事実を受け入れられるのか?それも必要な能力なのか?と自分自身に問いかけているように見えます。あるいは、そんなことできないよ、という反語に近い気持ちかもしれませんが。

 

「愛すべき人よ 君に会いたい 例えばこれが恋とは違っても」

 

恋と違うとはどういう意味なのか、というところですがこれは「恋のような燃え上がる感情はもうなくても」という意味で、長く連れ添った人をイメージしているのではないでしょうか。ただ、ここはなかなかはっきりとしない部分だと思います。

 

「Stay 僕が落ちぶれたら 迷わず古い荷物を捨て

 君は新しいドアを開けて進めばいいんだよ」

 

僕=桜井さんで、今のようにバンドとして売れず立ち行かなくなったら、僕のことは見捨てていいから、次の人を探しなよ、という優しさと「どうせ皆離れていってしまうんだ」という一種の諦念も感じられますね。一番もそうですがこの「Stay」というのは「ここにいて」という命令形の使い方と捉えるのが妥当でしょう。ここにいてほしいと願う中で、もしだめになったら離れてもいいよ、という相反する二つの気持ちが交錯していますね。

 

「Stay 何を犠牲にしても 手にしたいものがあるとして

 それを僕と思うのなら もう君の好きなようにして

 自分を犠牲にしてもいつでも 守るべきものはただひとつ

 君なんだよ いつでも 君なんだよ」

 

自分がダメになったら次を探してね、といったのにそれでも一緒にいたいっていうならもう好きにして、という投げやりな風にも思えますがそのすぐあとで、自分はいつでも君を求めているという帰結になっています。一番のサビでは君が「それにあたると思う」という表現だったのが、「君なんだ」と強い言葉に変わっていることも、覚悟の違いを表しています。

 

この曲は不倫の歌だ、という解釈もあるようですが、私は桜井和寿という人間が、モンスターバンドの成功の中で抱えていた葛藤をむき出しにした曲だと思います。YouTubeにもいくつかアップロードされているので、ぜひ確認してみてください。

 


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