どうもみなさんこんにちは。前回の投稿から一週間が経とうとしています。
前回は少しブラックな部分が見え隠れするラブソングを考察したので、今回は純粋なラブソングの歌詞について考えてみたいと思います。
さて、今回選んだ曲は、「Your Song」です。
これは2018年にリリースされたアルバム「重力と呼吸」の1曲目として収録されている曲です。2017年にデビュー25周年を迎えたMr.Childrenが、どんなラブソングを描いたのか。それでは歌詞を見ていきましょう。
まずは1番から。サビまでです。
「花吹雪が舞うような きらめく夏の日差しのような時は過ぎ
華やいでた思い出も 少しだけ落ち着きを取り戻した
君と僕が重ねてきた 歩んできたたくさんの日々は
今となればこの命よりも 失いがたい宝物」
さっそくMr.Childrenらしい表現が飛び出していますね。花吹雪と聞いて私は桜を想像しましたが、この部分は季節で表現すると、春や夏のような明るいイメージからは離れて、心が冷やされ、冷静になる秋や冬のような落ち着きが出てきたということなのでしょうか。二人の関係において始まった頃の熱い情熱は影を潜め、一歩引いた視点から二人で過ごしてきた時間を振り返ると、いつのまにかすごく濃いものになっていた。そしてそれはもはや命よりも重い。そんな風に思えるのは、二人がしっかりと向き合ってきた証拠なのかもしれません。
サビです。
「ふとした瞬間に おんなじこと考えてたりして
また時には 同じ歌を口ずさんでたりして
そんな偶然が今日の僕には 何よりも大きな意味を持ってる
そう 君じゃなきゃ 君じゃなきゃ」
サビでは何でもない日常の中に愛がうまく描かれています。同じことを考えたり、したりする、人間はそこに大きな喜びを感じるのだろうと思います。自分という人間が認められたような、そんな気がして。それは「お腹すいたな」「眠いな」という考えや、同じ歌を歌うといったくだらないものでも、いやくだらないものであるからこそ愛を感じられるのかもしれません。それは偶然なのでしょうか?確かに最初は偶然かもしれませんが、愛を深めながら共に過ごす人にとってはいつしか必然に変わるものだろう、と私は思います。
続いて2番。サビまでです。
「苦手意識を持ってた 食べ物もスポーツも堅苦しい場所も
君が勧めるんなら 無理なんかせず受け入れることができたんだ
時に僕が窮屈そうに とらわれている考え事に
なんてことのない一言で この心を自由にしてしまう」
ここでもやはり愛する人の強さを感じさせられます。「やってみれば?」の一言でなぜか頑張ろうと思ってしまうんですよね。私は「納豆食べてみたら?」と言われても、受け入れられないかもしれませんが(笑)中でも勉強や仕事など、深刻だと考えている悩みを一気に解決に導く力は、本当に大きいものです。たとえ的確で具体的なアドバイスじゃなくても、適当にした返答であっても、「いいんじゃない」「大丈夫だよ」という一言で心は救われます。これも、心の奥深くで相手を信用しているからできることなのでしょう。
サビです。
「飛び込んでくる嫌なニュースに 心痛めて
また時には ちっちゃなことに笑い転げて
一緒に生きていく日々のエピソードが 特別に大きな意味を持ってる
そう 君じゃなきゃ 君じゃなきゃ」
愛し合うもの同士が、互いの愛を確認するために必要なのは、派手に取り繕ったサプライズや、日常から離れた旅行なんかではない。何もない(と思える)日常に転がっている小さなイベントをたくさん共有することなんだ。そのひとつひとつは小さいけれど、集まれば大きな意味を持ち、それがやがて命よりも重い存在にもなり得る。わかっているようですが、意外と忘れてしまっているのではないでしょうか。平凡な日々に飽きてないがしろにしたり、ひたすらに新しい刺激を求めたり。「灯台下暗し」、本当の幸せは実は自分のすぐそばにあることって、多いですよね。
ラストはサビで締められます。
「ふとした瞬間に おんなじこと考えてたりして
また時には 同じ歌を口ずさんでたりして
そんな偶然が今日の僕には 何よりも大きな意味を持ってる
そう 君じゃなきゃ 君じゃなきゃ
そう 君じゃなきゃ 君じゃなきゃ」
再び日常の愛を述べて、この曲は終わります。
さて、今回は「愛」についての歌(=ラブソング)を考えましたが、この「Your Song」という曲については、描かれている愛は恋愛という意味のものだけでしょうか。私は、デビューから多くの月日が流れ、26年目に突入したMr.Childrenとそのファンの間で育まれた愛の意味も込められているのではないかと思います。いまや日本を代表するバンドとして名高いMr.Children。彼らの裏には、私もその一員ですが、数え切れないほどの多くのファンがいます。彼らの歌に心揺さぶられた人がいます。きっとMr.Childrenは私たちに、感謝の思いを届けてくれているのでしょう。
「そう 君じゃなきゃ 君じゃなきゃ」
これは私たちがMr.Childrenに思うだけではなく、Mr.Childrenもまた私たちに思ってくれている、そんな私の願いを記して今回は終わりにしたいと思います。
「Your Song」のライブ映像です。Mr.Childrenのメンバーが観客席に向かって微笑みかけるシーンが多くあります。それはまるで「恋人」のように。お互いの愛を伝え合う瞬間を是非見てみてください。
Mr.Children「Your Song」from Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸